ぬのさんのスパイスフリークな日々 | 布川俊樹ブログ

宇宙一カッチョイイギタリスト、ジェフベックと私 - [音楽雑感] - 2023年1月21日

1/12朝起きた途端のことだった。

スマホを見ていた息子が「えーー!ジェフベック…」。

SNSを見てみると既に「哀しみのギタリスト達」で溢れかえっていた。

仕事は色々ある日だったのだが、何とも言えない寂しい気分で放心状態になって全くやる気にならない。

早々に切り上げて温泉行って「ギターや音楽を始めた頃」に想いを馳せた。黄昏れた…。

この投稿は追悼投稿というより、僕の人生におけるジェフベックを書き残しておきたいと思って書いた文章だ。

SNSであれブログであれ、知人以外の追悼投稿って気分的に憚られるものだ。

大したファンでもないのに(自分の音楽人生に多大な影響を与えていたとしても、もっとすごいファンが世の中には沢山いるだろうってことがわかるから)、何かそういう訃報に便乗して自分のことを書いてしまう気がするからだ。

意外かもしれないけど、いままで本当に泣きそうになるくらい悲しかった音楽家の死は、チャーリーワッツしかない(自分でも何であんなに悲しいのか不思議だった)。

ジェフさんは世界でトップを争う人気ギタリストで、僕より衝撃を受けている「ジェフベック命!」のギタリスト、涙にくれているジェフマニアは何万人もいることだろう。

SNS見てればそれはわかる。

僕がいままで音楽家の死に際してブログで追悼投稿を書いたのは、ジムホール、チックコリア、プリンス、ジョーザヴィヌル、チャーリーヘイデン。

この5人だけ。彼らは僕の音楽家人生になくてはならない人たちだ。

僕はジェフマニアではないが、ジェフベックも完全にそういう存在だ。

僕にとってのライブ演奏の原体験、生まれて初めて観たコンサートが50年前、1973年5月14日日本武道館ベックボガード&アピスでの彼の初来日だったのだ。

このときに、痺れた、恍惚、衝撃、鳥肌(何と言っていいかわからん)というような感覚を初めて体験した(特にLivin' Aloneのイントロ。以下URL)。

まさに宇宙一カッチョイイギタリストだと思った。

っていうか僕にとってカッコイイの定義になったと言ってもいい。

https://www.youtube.com/watch?v=BfV1QAGI78o

正直言えば、僕は彼のギタープレイをコピーしたことは1度もない(テーマやリフくらいは練習したことはある。Scatterbrainはピッキングの練習になったものだ)。

アルバムは8割くらいは持ってると思う。彼のプレイってあまりに素晴らしい歌い方、表現と断片的なフレージングで「できるわけない」と思うからマネしたいって全く思わなかった。

クラプトン初期とかの方が端正だからコピーしやすかった。

強く僕に影響を与えたのは、彼の魂、歌い方、そして音楽の全体のサウンドだ。

プレイは全くマネしなかったけど、曲の雰囲気、質感は影響受けた。

50年前に受けた衝撃とエクスタシーを追い求めて50年間音楽(ギター演奏)をやっているのだから。

VALISの曲でもそういう意識で作った、あるいは演奏した曲は何曲もある。

何度か仕事で作った格闘技テーマソングはジェフベック様のサウンドなくてはあり得なかった(感謝)。

僕がロック聴き始めたときに出会った2つのジェフベックグループやBBA時代のサウンド。

衝撃のサウンドだったBlow By Blow, Wired, There And Backと続くインスト時代(あの音楽があったから、現代の僕らはクランチやディストーションでジャズを演奏しているのだ)、90年代後半には指弾きとアームのとんでもない表現力と、テクノサウンドを融合した「Who Else」。

ライブ映像で観た「A Day In The Life」のプレイには涙した。

2009年に観た東京でのライブは宇宙一カッチョイイギタリスト健在だった。

その後も全く若い風貌でレジェンドロックギタリストの中で一番元気そうだったのにな…。

書いてたらまた寂しくなって来た。

僕の音楽人生でなくてはならなかった多大な影響を与えてくれた偉大な先達がこれからも次々と亡くなって行くんだろうとヒシヒシと感じる。

それを避けるには自分が先に逝くしかない。

改めて謹んでギター神のご冥福をお祈りいたします。どうもありがとうございました。